2019年春に念願の扁桃摘出の手術を受けました。
正確には口蓋扁桃摘出術といいます。略して「へんてき」。
手術の決断・準備に際して、多くの先人ブログが大変参考になり、また励みにもなりましたので、ペイフォワードの精神で体験談と関連情報を記します。
「扁桃炎に弱い人には超おススメ!」です。
目次
扁桃摘出手術の適応(手術した方が良い人)
慢性扁桃炎などの方が向いてます
以下の方は、扁桃摘出手術の相談を耳鼻科医に!
- 慢性扁桃炎の方
- 扁桃肥大の方(特に「睡眠時無呼吸症候群」の方)
- 扁桃周囲膿瘍の経験者
「慢性扁桃炎」は、主に3種類に分類されます。
- 習慣性扁桃炎⇒1年で4-5回以上扁桃炎になる1「年間罹患回数」×「罹患年数」が8以上の場合も対象。私はコレです。
- 慢性単純性扁桃炎⇒微熱が続いたり、扁桃炎が完全に治らず継続
- 扁桃病巣感染症⇒関節リウマチ、IgA腎症、掌蹠膿疱症など扁桃炎の合併症
※ちなみに、扁桃腺は昔の呼称で、今は「扁桃」と呼びます。腺組織ではないことが近代医学で分かったからです。
対象年齢は?
扁桃は、免疫臓器2体を守る免疫を作り出す臓器と感染臓器3病気の原因になる臓器という二面性を持つ特異な臓器です。幼児は免疫面で摘出のデメリットが結構あります。
5歳以上ならそのデメリットがかなり少なくなり、年齢によるハードルが下がります。
更に、成人以上なら免疫臓器としての重要性はほぼ無く、摘出してしまっても全く問題ないというのが通説です。
私も内科医からは「小さいし取らなくてもいいのでは?」と言われましたが、年を取ってから悪化するようになり、耳鼻科専門医に相談すると摘出を勧められ、結果大成功でした。
医者にも色々な信念の人(透析患者に透析を止めさせる人とか・・・)がいますので、セカンドオピニオンを求めて若手から中堅くらいの耳鼻科専門医に相談に行ってみることをお勧めします。
病院・医者選び(大人は特に重要!)
口蓋扁桃摘出術は、耳鼻咽喉科の医師が初期に習う手術です。そのため、病院・医師の選定をしないと、経験の浅い新人の練習台にされる懸念があります。
子供であれば簡単に摘出できるため、医師の腕の差は小さく、専門医資格を持った医師であれば大丈夫でしょう。子供の場合はむしろ麻酔の難易度の方が高いため、しっかりとした麻酔科が備わっているところが安心だと思います。
一方、大人の場合、扁桃が周囲組織と癒着していることが多く、手術時間・難易度が跳ね上がります。信頼できる耳鼻科の先生に、大人の扁桃摘出手術の腕の良い先生を紹介してもらうと良いと思います。
簡単な手術のため専門医なら誰であろうと命の危険はまずありませんが、執刀医や病院設備により、術後の出血・痛みの差に違いがあります。
また、未熟な執刀医の場合、扁桃を一部取り残してしまい、手術目的が果たせないリスクが高まる懸念もあります。
もし心当たりなければ、関東なら「神尾記念病院」をおススメします!日本最大級の耳鼻科専門病院で腕の良い医師が揃っています。大学病院では、「慈恵医科大学付属病院」が耳鼻咽喉科のパイオニアで信頼できます。
※全身麻酔での手術が今では一般的で安全です。意識無い分、止血が丁寧にできることが大きいです。一方、局所麻酔は昔のやり方でリスクが高く採用している病院は選ばない方がいいと思います。
実際、他の病気で診察を受けた高名な外科医師に扁桃摘出手術を受ける予定があると話したところ「全身麻酔のところで受けた方がいいよ」とだけアドバイスを貰いました。
家から近いことも結構重要です。退院後に出血することがあるからです。
術前検査
手術が決まったら、手術日と術前検査日を決めます。私の場合は、1ヶ月後の手術となり、術前検査は手術2週間前でした。
術前検査の内容は、採血・採尿・心電図・レントゲン・呼吸でした。3割負担で5000円くらいだったと思います。
※術前検査の検査レベルは、定期健康診断と人間ドックの間くらいです。検査で何か異常指摘を受けてしまうと、民間保険に入れなくなったり、保険料が上がったり(2倍以上になることも)することもあるので、現在加入している保険で十分か事前確認することをお勧めします。
術前の扁桃炎の予防
手術前に扁桃炎が腫れると出血等のリスクが高まるそうです。また、手術当日に扁桃炎や熱があると手術が延期になることがあります。
執刀医曰く
「別に腫れてても切れるんだけど、麻酔科の先生が麻酔かけてくれないかもしれないんだよねー♪」
とのことでした。
なので、術前の健康管理は重要です。私は、ツムラの「小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)」という漢方薬を処方して貰い、手術日まで毎日服用しました。
それでも少し腫れて焦りましたが、この漢方薬が効いて万全の状態で手術に望めました。不安な方は、先生に相談しておくと良いと思います。
入院日数・費用・還付金について
入院日数
病院により異なりますが、「手術前日に入院し、順調なら7-10日で退院」というクリニカルパス(標準入院プラン)を採用している病院が多いです。
術後、一週間後くらいに瘡蓋(カサブタ)が取れて大出血するリスクがあるため、不安な方はクリニカルパスが長めの病院を希望すると少し安心です。
「扁桃摘出 クリニカルパス」で検索すると、色んな病院のクリニカルパスが確認できます。
大出血は、全体確率的には1-5%程度のリスクですが、年齢・癒着の程度・既往症などの個人差によって実質上のリスクは大きく異なります。
逆に言えば、若くて健康ならば極めて安全ということです。悩んでいる方は早く受けた方がいいです。
手術・入院費用
3割負担で10-15万円程度です。個室などの特別室を希望すると、これに差額ベット代(保険適用外)が上乗せされます。
私は9日間入院で17万円(内、差額ベット代が3.6万円)でした。
クレカで払える病院は多く、ポイントも溜まりますのでクレカ払いがおススメです。
高額療養費制度(還付金その①)
年収によっては「高額療養費制度」の対象となり、一定金額以上は社会保険から補填されます。
例えば、年収が約770万円以下であれば、3割負担の上限が8万円ちょいに限定され、年収が約370万円以下なら57600円が上限になります。若手の方も安心して手術が受けられます。
※差額ベット代は社会保険対象外のため注意
※この上限は還付処理(事後返金)が原則ですが、「限度額認定証」というものを予め取得しておけば窓口支払段階で上限が適用されます。詳しくは、術前検査時などに案内されると思います。
でも、クレカ枠に余裕があるなら、限度額認定証を使わず、クレカで一括払いした方が、ポイントが多く溜まってお得だと思いますよ。
なお、高額療養費の還付時期は、会社毎に異なると思いますが、私の会社は3か月ほどでした。
3か月のクレカ立替で、1%のポイントが貰えるなら、実質年利4%相当の利益ですので、そういう意味でもクレカ一括払いがお得です。
※この上限は、月単位で判断されるため、月跨ぎで入院すると損する可能性が高いです
付加給付(還付金その②)
貴方の会社が「健康保険組合」に加入している場合(保険証を見れば分かります)、「付加給付」という独自の福利厚生制度がある可能性が高いです。公務員の共済組合にもあるはずです。
例えば、私の会社の健康保険組合では、月2.5万円以上の自己負担分は、健康保険組合が負担してくれて事後還付されます。つまり、「付加給付」があれば「2.5万円+差額ベット代」しかかからないということです。
また、「関東ITソフトウェア健康保険組合」は業界特性上まだ高齢者が少なく儲かっており、月2万円以上の自己負担分は、健康保険組合が負担してくれるという大盤振る舞いです。貴方の会社がこの組合に入っていれば、転職前に手術した方がお得ですよ!
高齢化に伴い、健康保険組合は半分近くが赤字です。そのため、解散する所が増えています。解散すると協会健保へ加入となりますが、協会健保には付加給付がありません。
幸運にも付加給付のある健康保険組合に加入している方は、加入している内に病院に積極的にかかって治しておきましょう。
傷病手当金(還付金その③)
「健康保険法」などの法律に基づく請求権です。手術の入院期間や自宅療養が必要と医者が診断書を書いてくれれば、労働不能日1日につき、日給の2/3が支払われます。詳しい制度はググって調べてみてください。
※労働不能日(入院)最初の3日は手当金対象外です。この3日は有給でも算定されます。
※4日以上入院して労働不能でも有給休暇日は手当金対象外です
※欠勤日や土日祝日が手当金対象日です
※手続きが面倒なので、日数少ないと請求する気がおきないかも・・・
普通のサラリーマンの場合、査定の関係で欠勤扱いにできないため、入院延長でもない限り、土日の2日分の請求に通常留まります。私はまだ請求していませんし、しないかもしれません。
民間医療保険について
手術給付金と入院給付金
その名のとおり、「手術給付金」は手術を受けた際に下りる保険金で、「入院給付金」は入院した際に入院日数に応じて下りる保険金です。
一般に、扁桃摘出手術は、手術給付金の対象外ですが、入院給付金の対象です。民間医療保険と付加給付のおかげで、私は10万円以上黒字でした。
手術給付金が下りる保険と下りない保険
手術給付金は、概ね5-20万円程度下りるものが多いため、手術給付金が下りるか否かは結構大きいです。
昔の保険は手術給付金対象外がほとんどですが、この6-7年くらいの最近の保険であれば、手術給付金対象の可能性が十分あります。
これは「公的保険連動」という「公的健康保険の対象となる手術は基本的に手術給付金の対象とする支払基準」を採用している医療保険が近年増加しているからです。
ただ、「公的保険連動」を採用しながら「口蓋扁桃摘出術」を特別に対象外にすると約款で定めている保険もあります・・・
保険ショップ・FP
上記のとおり、医療保険は内容が各社バラバラで難しいので、複数の保険会社の商品を取り扱っている保険ショップやFPに相談するのがベストだと思います。
医療保険やガン保険は競争が過熱しており、昔の保険よりも最近の保険の方が有利なことが多いです。
なお、一社のみ取扱う専属保険代理店は商品選択の余地がなく避けた方がいいです。
自分の場合
私の保険(外資と4大生保)は、両方共に手術給付金対象外でした・・・
もし後継保険が出たときに見直しておけば、手術給付金も下りたのに・・・
更に、20年前に加入した某4大生保の医療保険(医療特約)の方は、入院給付金も最初の4日の入院日数は切り捨てで勿体無い感じでした。12年前に加入した某外資の入院給付金は入院1日目から支払われました。
最近の医療保険は、一日目から入院給付金が下りるのが普通で、1日しか入院しなくても5-10日分の入院給付金が出る保険もあります。
差額ベット代を保障する保険も
最近は差額ベット代を保障してくれる保険もあります。
私は大部屋で全然大丈夫でしたが、個室希望の方は、そういう保険にも入っておくといざというときに安心です。私の病院の個室代は、一日1.5万円~2.5万円でした。
大部屋でもグレードがあって差額ベット代が発生する部屋もありました。差額ベット代には社会保険が利かず10割負担です。長期入院すると痛い費用項目です。
私は、差額ベット代が発生する大部屋を使いました。決め手は、冷蔵庫の有無でした。一日4000円でした。ヨーグルトやプリンなどを手元で保存できるのは大きいです。
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