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扁桃摘出のメリット
今後ずっと扁桃炎にならない
急性扁桃炎を繰り返す方(習慣性扁桃炎)が扁桃摘出すると、病院に行く時間・費用、休む時間が格段に減ります。冬の乾燥も心配いりません。
習慣性扁桃炎が自然治癒することはまずありません。今は良くても、加齢に伴い免疫力が低下し、私のように頻度も重症度も高まる可能性もあります。
早期に摘出すれば人生トータルでのコストを大きく削減し、自由時間も大幅に増やせます。
抗生物質の耐性抑止・腸内細菌の維持
慢性的な扁桃炎は抗生物質を飲まないと治らないことが多いですが、抗生物質には耐性があります。何度も飲んでいると肝心なときに効かなくなる心配があり、更に強い抗生物質が必要になります。体にも悪いです。
また、抗生物質を飲むと腸内細菌が死滅して腸内フローラのバランスが崩れます。免疫力全般の低下に繋がり、他の疾病の誘発に繋がります。
口臭原因(膿栓)の除去
扁桃炎になると、扁桃に白い物が付着することがあります。これは膿栓といい、扁桃の内部に溜まった膿の一部が沁みだしているものです。膿なので当然臭います。ネット上では、よく臭い玉と呼ばれています。
扁桃摘出すればこの膿栓どころか、扁桃中に溜まった膿ごと除去されますので、口臭が改善されます。
激痛や命の危険の回避
重篤な扁桃炎(扁桃周囲膿瘍)になると、麻酔があまり効かない状態で切開して膿を吸い出す必要になることもあります。
その痛さは扁桃摘出手術後の痛みに匹敵又は上回るとも言われ、それが何度も繰り返す可能性もあるわけです。一回だけの扁桃摘出で済ませたいですよね。
また、扁桃周囲膿瘍の膿が肺に垂れることがあり、その場合の死亡率は30%程度もあるそうです。
扁桃関連病リスクの激減
扁桃炎を繰り返すと、免疫の暴走により、他の臓器が難病になるリスクがあります。
扁桃病巣感染症と呼ばれるもので、IgA腎症、掌蹠膿疱症、胸肋鎖骨過形成症、尋常性乾癬、アレルギー性紫斑病、関節リウマチ、筋炎、ぶどう膜炎、紅斑などです。
これらは事後的に扁桃摘出することにより改善することもありますが、確実というわけではなく、予防的に摘出しておけば安心です。
口蓋扁桃のガン・悪性リンパ腫リスクの激減
口腔・咽頭ガン自体がガンの中でレアなものですが(全体の2%程度)、扁桃にもガンはできます。扁桃のガンは、中咽頭ガンに区分されますが、その中で口蓋扁桃は好発部位です。
度々炎症起こしたり、膿が溜まっていれば、ガンが発生しやすいのは当たり前ですよね。
全体ガンの2%という割合も、扁桃炎に縁の無い人を含んだ数字ですから、扁桃炎持ちの人のリスクはもっと高いと推測できます。
また、口腔・咽頭ガンの5年生存率は、男性57.3%/女性66.8%と低めです。発見が難しく、ステージが進行していることが多いのが要因のようです。このガンリスクがほとんど無くなるのも結構大きなメリットだと思います。
扁桃摘出のデメリット
術後痛い
私もこれが一番不安でした。でもそこまで恐れるほどではありません。
まず、食事以外では全く痛くありませんでした。水は流し込むように工夫すれば平気です。
「扁桃炎で一番痛いときの痛み程度」という説がありますが、私の場合、手術から4-10日の間の食事の際の痛みは、これを少し上回りました。でも、痛み止めが出るので、まあ何とか耐えられるレベルです。
私は入院するほど重い扁桃炎にはなったことがないため、そこまで重篤な方にとっては同レベルなのかもしれません。術後2週間程度で痛み止め無しで食事可能となり、術後3週間で何でも食べるようになりました。
で、この痛みを経験したうえで
「人生やり直したら、再度摘出手術を受けるか?」
と聞かれたら
「受けます!もっと早くに、子供の内に!」
と自信をもって答えます。
手術後の口内炎
手術時に開口器で押さえつけるため、術後一時的に口内炎が出来ることがあります。
私も1つだけできました。でも痛み止めを飲んでいたため、痛みはなく、気になりませんでした。申告すれば塗り薬を貰えます。数日で治ります。
手術後の口の両端の痛み
同じく開口器で口を大きく開けるため、口の両端が痛くなる人がいるようです。そんなに頻度は高くないようで、私は特に何もありませんでした。
味覚障害
同じく開口器で舌を押さえつけるため、血流が悪化し、味覚障害が起きることがあります。扁桃の神経を切断することも要因です。そこそこの頻度で起きる模様ですが、1-6ヵ月以内に普通は治ります。
私も舌の奥の方の味感覚に違和感がありましたが、障害というほどの苦痛は感じませんでした。手術を受けなければ良かったと後悔するほどの味覚障害ではなく、じきに治ればいいなと楽観していたら、3-4か月程度で治りました。
なお、執刀医には味覚障害の原因は分からんと言われ、メチコバールを3か月分貰いました。飲み切った時点でまだ若干違和感が残っていたので、一生違和感残る覚悟もしたのですが杞憂でした。
術後出血
扁桃摘出術後の出血は二峰性出血と言われ、「術後24時間以内」と「術後1週間後近辺」の2つが出血リスクが高い時期です。大出血のリスクは、1-5%程度と言われます。
全身麻酔や手術そのものよりも、この術後大出血が起きる方が私は怖かったです。なぜなら、緊急手術になるため、医師側の準備も万全ではありませんし、何より胃に内容物が詰まっていると全身麻酔のリスクが跳ね上がるからです。
なので、私は出血しないように細心の注意を払いました。幸い、出血らしい出血はなく回復することができました。
コチラ(pdf)で横浜南共済病院の術後出血データとその分析が公開されているのですが、全体の11.6%に出血(手当不要な出血含む)、2.6%に全体麻酔での再手術が生じています。日本全体でのデータは無いので比較はできませんが、思ったよりも再手術割合が高い印象を受けました。
再手術に至る危険因子は、①男性、②成人、③経験5年以下の術者と分析されています。やはり大人の癒着した扁桃は、熟練した執刀医に任せるのが安心だと再確認しました。
声変わり
声が変わることが稀にあるようです。私は多分変わっていません。少し高くなってくれると嬉しかったのですけど(笑)
実際、コチラ(pdf)の東京医科大学の研究結果によれば、声への影響は良い方向に変わっているものが多く、一概にデメリットというわけではなさそうです。
この研究結果によれば、大人の扁桃炎で癒着している人はリスクが高めになるそうです。
風邪を引きやすくなるか?
術後、一時的に免疫が低下する可能性があるようですが、数か月~2年もすれば元に戻るようですし、身の回りの経験者や他のブログの先人達を見てみても、風邪を引く割合も下がったという話が多く、特に問題はなさそうに思えます。
なお、私は術後3週間後くらいに油断して、薄着で昼寝をして風邪を引いてしまいました。でも扁桃炎と違って抗生物質無しですぐに治りました。
その後、半年経過しました。クーラーを一日中付けて、朝方ブルっとした日も何度かありましたが、風邪すら全く引いていません。扁桃炎で定期的に病院に通っていたのが嘘のようです。
扁桃の取り残し
癒着している扁桃の場合、扁桃の一部を取り残してしまい、それが再生して口蓋扁桃が復活してしまうことがあるようです。再手術となりますので、これは悲惨です。私は大丈夫でした。取り残しをしない腕のいい執刀医に当たりたいですね。
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